いつもご利用ありがとうございます！
先日タクシー業務から離れ、同行援護従業者として山形県と宮城県との境目にある大崎市大崎市にある「あ・ら・伊達の道の駅」や県境にある分水嶺、松尾芭蕉が逗留した「封人の家」などを視覚障害者の方達と年１回の旅行を楽しんできました。「封人の家」で管理人の方のお話を伺い、365日囲炉裏に火を入れ茅葺き屋根が傷まないように維持管理をしている大変さなどを聞いて感心してきました。
あるお客様との思い出
そのお客様との最初の出会いは、ご家族の法事の為、車イスが必要なお母様をお寺にお連れしたいとのご希望でした。１年半後「病院に行きたいから車イスを持って自宅へ来てくれ」とのご依頼。ベッドから起き上がれなくなっているお客様を車イスに乗せて急いで病院へ。１ヶ月半後帰らぬ人となりました。（詳しくは下のリンクへ）
病に臥せっていても
実はこのお客様、緩和病棟に入院中の１ヶ月半の間にもご利用くださいました。病棟看護師が心配するほど病状は決して良くはないのに。
1度目は大学時代の仲間の皆さんと会うために。1度は最後の時を迎える場所を確認するために。そして在職中から懇意にしていたご友人お二人と会うために。
ご本人は
あそこにも行きたい、ここにも行きたいとご要望をおっしゃっていましたが、何しろタクシードライバーである私にすら看護師から痛み止めの頓服薬を託されるほどの状態でしたから、福祉タクシーCANとしてできることは本当に限られていました。
それでもわざわざ関東から新幹線を使って見舞いに来られるご友人を駅まで迎えに行きたい！というご要望に応えない訳にはいきませんでした。
ご友人は
どちらも長いお付き合いのある方でした。駅までお迎えに行き、お客様ご本人の実家へお連れし、外出時間制限一杯まで楽しまれた後、お客様自身を病院へ、ご友人を最寄駅まで送った後業務を終了しました。その際、福祉タクシーCANの名刺をお渡しし、何かあれば対応する事をお伝えしてお別れしました。
お客様とタクシードライバーとの関係
その後しばらくお客様からは連絡がなく、どうなったのか気になりながらもご本人やご家族に状態を伺う訳にもいかず、モヤモヤしたまま業務にあたっていました。ほどなく駅までお客様と一緒に迎えに行ったご友人のお一人から「２週間ほど連絡がない。何か知らないか？」とのお問い合わせがあり、意を決してご家族へ確認したところ「病状が良くない」とのこと。そしてその２日後、そのご家族から「亡くなった。迎えに行くから私を施設に乗せていってほしい」とのご依頼。もちろんお受けし施設へお送りしました。その後斎場を伺い、穏やかなお顔を拝見することができました。また、亡くなったことをご友人にもお知らせしたところ、葬儀の日程がわかったら教えてほしいとご依頼され、その旨ご家族にもお伝えしましたが、家族葬にするので遠慮してほしいとのお返事。それをそのままお伝えすることしかできませんでした。もちろん、私も葬儀には参列していません。たった数回お客様としてお乗せしただけのタクシードライバーとしては、参列する資格は無いとも思ったからでした。
通常
1度でもご利用いただいたお客様が逝去されたことをわかった時、弔電を打つようにしています。弔電を打つのが間に合わず、時間的に余裕がある際は焼香をしに行く場合がありますが、それが精一杯だとも考えています。故人がどんな人生を歩んできたか、どんな方々と関わりがあったかなどもわからず、ほんのひと時、たとえばご自宅から病院までの数十分、タクシーにお乗せしただけのドライバーが葬儀に参列することはおこがましいと考えるからです。
でもこのご友人は
それでも、墓前に行って故人とお話をしたいと、半年以上経ってまた私に連絡をくださいました。
故人のご家族へ連絡したところ快く受け入れてくださり、故人が生前孫のように可愛がっていたご友人の幼いお嬢さん三人を含め墓前にお参りすることができました。
ご友人お二人は１泊２日の急ぎ旅ではあったものの大変満足され、私にも大きな感謝をされました。ただ、故人のご家族と繋いでお寺までお連れしただけなのに。
客商売をする上での喜び
そのひとつはお客様から「ありがとう」と言われることだと私は思っています。そう言ってもらえるように、ご利用くださるお客様には出来得る最大限のサービスを提供したいと常に心がけています。
この度のこの一連の出来事は、お母様を法事に連れていくために福祉タクシーCANを使ってくださった、おそらく一生忘れることのできないお客様がもたらしてくださったものと思っています。
看板犬3号。ヤンチャすぎて目が離せない…。